三笠市H-UCG事業(未利用エネルギー活用事業)について

  三笠市では、平成232011)年より、未利用エネルギーの有効活用を目指し、石炭地下ガス化(UCG)の取組みを推進しています。現在は石炭のほか、同じく地域に豊富に存在する木質バイオマスを組み合わせたクリーンな水素製造事業として、H-UCG(ハイブリッド石炭地下ガス化)事業に取り組んでいます。水素製造時に発生する二酸化炭素(CO2)は、地下に残る石炭採掘跡へ埋め戻すほか、農業などで利用することによって、事業全体でのCO2排出量ゼロを目指します。この事業は、地域資源を活用したエネルギーの地産地消や新たな産業・雇用の創出によるマチの活性化を目的としています。

目次

1.H-UCG事業について
2.これまでの経過
3.NEDO事業について
4.CO2の地下固定について
5.まとめ


1.H-UCG(ハイブリッド石炭地下ガス化)事業について

 H-UCGHybrid – Underground Coal Gasification(ハイブリッド石炭地下ガス化)の略称です。①石炭の地下ガス化②石炭や木質バイオマスの地表でのガス化③取り出したガスから水素を製造します。
 なお、水素製造時に排出されるCO2は分離・回収し、地下固定や農業利用等のCCS/CCUSを行い、事業全体でのCO2排出量ゼロとなる水素製造を目指します。


①石炭の地下ガス化(UCGUnderground Coal Gasification

石炭層を直接燃焼させることで加熱された周囲の石炭層より発生する生産ガスを回収する方法で、地上から酸素や水蒸気等を送り込むことで、地中で発生した一酸化炭素や水素等を含む生産ガスを回収します。

②石炭・木質バイオマスの地表ガス化

 バイオマスという言葉は再生可能な生物由来の資源のことを指し、その中でも木材由来のものを木質バイオマスと呼びます。
 木質バイオマスと、石炭を合わせて炉の中で加熱することで、ガスを取り出します。なお、木質バイオマスは、CO2を吸収しながら生育するため、燃焼・ガス化しても大気中のCO2濃度に影響を与えないカーボンニュートラルなエネルギーとされています。

③可燃性ガスからの水素製造

 石炭や木質バイオマスをガス化させてできた可燃性ガスに含まれる水素の割合は20%に満たないので、CO改質などによって40~50%に濃度を上げることができます。さらに、洗浄・精製などの行程を通して、水素燃料電池自動車や水素ボイラが必要とする純度の高い水素を製造します。

 

2.これまでの経過

 H-UCG事業は、平成232011)年、市が室蘭工業大学と共同で市内の砂子炭鉱(奔別町)鉱区内で実証実験を実施したことから始まります。同年10月には開庁130年記念事業として「石炭エネルギーシンポジウム」を開催、以後継続的な実験と報告会(三笠市未利用エネルギー活用フォーラム(三笠市石炭資源活用研究会))や市内中学生の実験見学受入などを行ってきました。主な実験としては、平成232011)年の砂子炭鉱に始まり、人工的に石炭層を再現したものを利用した実験や、幾春別地区の未採掘の石炭層を利用した実験を行ってきました。令和52023)年には、砂子炭鉱の露天掘りが終了した区画において、約20mのボーリングを行い、ガスの生産から水素製造までの実験を実施しました。
 この間、経済産業省の外郭団体であるNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの採択や、ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の地域カーボンニュートラル促進プロジェクトに選定され、1億円の企業版ふるさと納税による寄附を受領しています。

 

 

3.NEDO事業について

 NEDOは新エネルギー・省エネルギーの技術開発を進める国立研究開発法人であり、エネルギーに関連した様々なテーマの公募を行っています。H-UCG事業は、これまで令和32021)年と令和52023)年の2回、採択を受けています。採択テーマは「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発」であり、現在は共同申請者である大日本ダイヤコンサルタント株式会社、室蘭工業大学、エア・ウォーター株式会社、カワテックス株式会社とともに「三笠市H-UCGによるブルー水素サプライチェーン構築実証事業」に取り組んでいます。

2021年度~2022年度成果報告書
「木質バイオマスと未利用石炭の石炭地下ガス化によるCO2フリー水素サプライチェーン構築に関する調査」 【資料1】【資料2
2023年度
「三笠市H-UCGによるブルー水素サプライチェーン構築実証事業」【資料

 

4.CO2の地下固定について

 三笠市はかつて石炭産業で栄え、市内にはたくさんの炭鉱がありました。石炭の採掘のため、地下に通路として坑道を掘り、坑道から石炭を掘るための払(はらい)が広がっていました。主な坑道は採掘終了後に充填され塞(ふさ)がれましたが、払跡はそのままにされることが多く、上下からの地圧によって潰れ、すき間の多い状態になっていて、かつ地下からの湧水(坑内水)などによって満たされています。そこにCO2を細かな泡にして水に溶存させた「CO2マイクロバブル水」や、CO2と反応して固化する「CO2スラリー」を圧入し、地下にCO2を貯留・固定します。CO2マイクロバブル水は坑内水より比重が重いので、坑内水の下に潜り込もうとします。また地下に残る石炭はCO2を吸着する性質を持っており、CO2スラリーと反応して地下で固まることから、地上にCO2が漏洩する心配はありません。三笠市はこのように、CO2地下固定を通して、地盤構造の安定化を目指すとともに、地球温暖化対策への貢献を目指しています。
 令和42022)年のCO2地下固定実験については こちら をご覧ください。
 



 

 

5.まとめ

 三笠市では、H-UCGを通じて、企業立地や雇用創出などの地域振興を目指します。
 豊富な未利用資源や地下に広がる石炭採掘跡の空洞などを有効活用する取組みとして、本事業が一つのモデルとなり、全国・海外の産炭地などに展開されることでゼロカーボン社会の実現に寄与します。


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