1. 市民の想い
この計画を策定するにあたり、市民が日常生活で感じていることや今後のまちづくりに対してどのような想いを抱いているのかなどを把握し計画に反映させるため、市民アンケートを実施しました。
その寄せられた想いを整理すると次のようにまとめることができます。
(1)三笠市の印象
三笠市を、「やすらぎやのどかさ」、「歴史と伝統」のあるまちと思っています。
本市に対する市民の印象は、「やすらぎのある平穏でのどかなまち」であり、また「歴史・伝統のあるまち」であり、「やすらぎやのどかさ」については、年代が若くなるにつれてその傾向は強まっています。
また、あまり思われていない印象は、「明るさや活気」、「特色・個性」であり、これも年代が若くなるにつれてその傾向は顕著です。
やすらぎやのどかさを残しつつ、明るさや活気を取り戻すことが必要とされます。
(2)日常生活での満足度
「ごみの収集やリサイクル体制」が満足、「雇用の場の創出」が不満と感じています。
日頃の生活の中で満足している項目の順は、「ごみの収集やリサイクル体制」が1番であり、以下「道路の整備状況」「スポーツ活動やスポーツ施設」となっています。
また、反対に不満が多かったのは、「雇用の場の創出」「冬期間における除排雪」「買い物など日常生活の便利さ」でした。
満足していることにはさらなる向上を、満足していないことには早急な対応が必要とされます。
(3)三笠市への定住意向
多くの方が、今後も三笠市に住みつづけたいと思っています。
約8割の市民が、「今の場所に住みつづけたい」または「当分の間住みつづけたい」と思っています。この傾向は、年代が進むにつれて強まっていますが、逆に、若い年代ほど住みつづけたいという想いが弱まっています。
若者たちも今後も住みつづけたいと思うまちづくりが、これからの発展のカギを握っています。
(4)将来のまちのイメージ
すべての人が快適に生活できるまちを望んでいます。
市民が望む将来のまちのイメージは、「すべての人が快適に生活できるまち」であり、そして「人々がともに助け合う、人間性豊かなまち」です。
これからのまちづくりを進めていく上でのキーワードは「人」であり、つまり、まちづくりの主役は「私たち市民」です。
2. まちづくりを取り巻く背景と主要課題
(1)地球環境問題の顕著化
20世紀後半から急激に進んだ工業化や都市化は、地球上の各地に公害や自然破壊を及ぼし、さらに近年は、地球温暖化やオゾン層の破壊など、人類の生存をも脅かす生態系の崩壊へとつながり、環境問題は、人類共通の差し迫った課題として意識されています。
21世紀が「環境の世紀」と呼ばれるよう、20世紀の大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会形態を反省し、自然環境の保全や創造に取り組み、自然環境と調和していくことが必要となっています。
地球環境にやさしい生活や生産活動など、私たちの英知により豊かな自然を次代へ引き継いでいくことが求められています。
(2)少子化、若者の流出
より魅力ある職場と都市環境を求めて、多くの若者が市外へと流出し、これにともない、子どもたちの数が年々減ってきています。
また全国的に見ても、日本の人口は減少すると予想されています。
将来の本市を担う若者や子どもが減っていくことは、まち自体が衰退していくことをも意味しています。
若者が住みやすい環境づくりや魅力あるまちづくり、また子どもを育てやすい環境づくりへの対応が求められています。
(3)超高齢社会
少子化が進む一方で、平均寿命が着実に延び、高齢化が急速に進み、特に本市においては、高齢化率が全国平均を大きく上回り、すでに超高齢社会に突入しています。
高齢者が、元気に安心して暮らせる環境づくりと、仕事や子育てからはなれた方が、日々生きがいを持って暮らせる環境が必要です。
そのためには、高齢者や障害者が快適に生活でき、これまでの知識や経験を活かし、自ら地域社会に参加する環境づくりが求められています。
(4)快適な冬の暮らし
豪雪は、若者から高齢者まで切実な問題で、このまちの住みやすさを阻害している原因の一つとなっています。豪雪地に住んでいる以上、この豪雪とは付き合っていかなければなりません。
間口の除雪や屋根の雪下ろしなどは、日常生活に大きな負担を与えているため、快適に冬の生活を営める環境づくりが求められています。
一方、豊富な雪を利用して、誰もが楽しめるイベントの創出や雪の冷熱エネルギーを活用する取り組みが求められています。
(5)活力ある産業
豊かな生活を支えるためには、しっかりとした経済基盤が必要とされます。日本経済全体が低迷していますが、情報通信産業や環境産業など新たな時代に対応した事業展開が期待でき、若者が求める企業誘致や地域資源を活用した起業化が求められています。
(6)人づくり
まちに活気や明るさがなくなったと言われるようになって久しくなります。
まちを創るのは人です。一人ひとりがやる気を起こし、元気を出すとともに、まちの自立と活性化のためにがんばっている人、これからがんばろうとする人を積極的に支援し、さまざまな分野でのリーダーとなる人材を育成することが求められています。
(7)高度情報通信社会の到来
パソコンが一般家庭に普及し、高度情報通信社会が急速に発展してきています。高度情報通信社会の発展は、生産・物流・消費などといった経済活動にとどまらず、コミュニティ、教育、福祉などあらゆる分野で広がりを見せており、高度情報通信社会に対応する基盤整備が必要とされています。
(8)自主・自立
日本経済の長期低迷と閉塞感を打破するために進められている構造改革の一環として、行政の効率化と自主・自立が求められています。
また、地方分権の受け皿として市町村合併が論議されていますが、このまちの将来をどうするのか、市民一人ひとりが真剣に考える必要があります。
このため、財政構造の抜本的改革を図り、市民と行政の協働による簡素で効率的な自治体経営が求められています。
3. 三笠市の特性と資源
(1)恵まれた自然環境
本市は、富良野芦別道立自然公園桂沢湖を有し、また三方を山々で囲まれ市土の約86%が森林です。また、まちの中心を幾春別川が流れ、緑豊かで水が豊富な自然に恵まれたまちです。
四季折々に姿を変える自然は、私たちの心に潤いとやすらぎを与えてくれるとともに、健康的なレクリエーションの場を提供してくれます。
(2)位置的優位性
道都札幌市へは道央自動車道を利用すると30分、道北の拠点旭川市へは1時間で到着します。
また、国道452号を経由し、道道美唄富良野線(富芦道路)を利用すると、富良野市へ1時間、帯広市へは3時間と、道央地区と道東地区を結ぶ要所としてその役割が増大しています。
さらには、北海道の空の玄関口である新千歳空港へも1時間で到達する距離にあり、利便性の高い恵まれた環境にあります。
(3)文化・産業遺産
本市には、明治元年の石炭の発見にはじまり、日本で3番目に開通した鉄道など、明治以降の日本の近代化に大きく貢献した石炭と鉄道の歴史と、地域文化があります。今でも立坑やぐらなどの炭鉱施設や建物、列車や駅舎、文化財、盆唄・盆踊り、暮らしの記録など、先人たちの想いが刻み込まれた歴史や文化遺産が数多く残されています。
(4)アンモナイトなど化石の宝庫
本市の地層は、中生代の白亜紀から新生代第4紀にわたる堆積岩によって構成されており、各種の化石が産出され、アンモナイトは世界的にも有名であります。
また、激しい地殻変動のために隆起してできた5千万年前の地層と1億年前(白亜紀)の地層が隣り合わせに露出しており、古海洋学、古生物学の研究に恵まれた環境にあります。
(5)人
北海道開拓の先陣をきった当地には、ライマン、クロフォードなど炭鉱や鉄道の技術者や、参議伊藤博文(後の日本初代内閣総理大臣)、自由党総裁板垣退助など、当時の要人が数多く足跡を残しています。
一方、当地出身者には、元日本学士院院長の黒川利雄医学博士や元商工大臣の八田嘉明をはじめ、政治、芸術美術、音楽、スポーツなど、数多くの分野に有名人を輩出しているとともに、現在各界各層で活躍している人たちは、市民の誇りの一つとなっています。