令和5年度には、現在も露天掘りにより石炭の採掘を継続している株式会社砂子組の協力のもと、石炭層が地表に露出している露頭炭層を活用した地下ガス化実験を行いました。この実験は、企業版ふるさと納税による寄附金のほか、国のデジタル田園都市国家構想交付金、北海道の道内炭層エネルギー等利活用促進事業費補助金を活用することで実現しました。
実験を行った砂子炭鉱三笠露天坑 実験現場の様子
実験方法は、露頭炭層に沿って、ガスを生産する同軸孔および補助生産孔を先端で交差するように掘削し、同軸孔の先端で石炭に着火し、周辺の石炭層をガス化させる、というものです。
実験模式図
掘削および実験機材等の搬入後、9月17日に石炭層に着火を確認後ガス生産に関する計測を行い、9月20日に消火を開始しました。ガス化を行った炭層に対して、令和4年度の実験にて使用したスラリーを注入し、ガス化によって生じた亀裂等の充填を行った上で、スラリーの固化について調査するために再度掘削を行っています。
スラリー充填箇所を掘削したボーリングコアの様子
これまで三笠市では人工的に石炭層を再現した人工炭層を活用した実験を継続して行ってきましたが、今回の実験から、実際の炭層を活用することで人工炭層の場合と比べ2倍以上の量の水素を製造することができました。
平均水素生産量の過去実験との比較
(2021年以前は人工炭層を用いた実験結果)
また、生産ガス中に含まれる水素の割合は約26%で、一般的な水素燃料電池で使用できる純度に満たないことから、膜分離方式による水素の割合を高める実験も行い、約70%まで高めることができました。
今後も実験を継続し、掘削技術の更なる開発や、水素純度の向上を図り、実用化に向けて研究を進めていきます。