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化石標本の写真撮影 (その3)

学術論文用に化石標本を撮影する場合、しばしば行われるのが「ホワイトニング」とよばれる作業です。これは、化石標本を白く着色する事を言います。
 
ホワイトニングを行い、慎重に照明の光を当てると、陰影の効果により、化石標本の凹凸が極めて明瞭になります。下にイノセラムスの化石を用いて比較した写真を示しましたが、同じ標本でもホワイトニングをすると、細かい特徴まで明瞭に見て取れることがわかると思います。ちなみに、化石の色は、その生物が生きていた時とは全く変わってしまっている事がふつうなので、学術的にはほとんどの場合、色はさほど重要ではありません。ですから、真っ白な化石でも全く問題ないわけです。

   

またホワイトニングした場合、カラー写真よりも白黒写真の方がコントラストがはっきりして見やすいので、学術論文では、今でも白黒写真が好まれる事もあります。
 
ホワイトニングは、二酸化マンガンなどの薬品を燃やしたり、熱した時に発生する白煙に標本をいぶすことによって行います。ちなみにこれらは水洗などによって落とす事ができます。ホワイトニングのコツは、むらなくいぶす事(難しい!)、白い層が厚くなりすぎない事です(厚化粧にならないこと)。

ホワイトニング後、一番気をつけなければならないのは、触れるとホワイトニングが剥落するので、白くした所には絶対触れない、ということです。実はこれがけっこう難しいのです。ホワイトニングした化石を、撮影場所に移動させて、固定してから撮影するわけですが、小さな化石の場合、手でつかむ所が限られ、苦労して標本をつかんでいる間に、触ってはいけない所に触れてしまって、やり直しという事故がしばしば起きます。
 
やり直しとなると、洗ってしっかり乾燥させてからでないとホワイトニングできないのでタイムロスが大きく、急いでいる時には泣かされたものでした。
 
次回は、写真の現像と焼付けについてお話しします。

                                             (主任研究員 加納 学)

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