【終了】2019年特別展見どころ紹介 第6回「デスモスチルス」
本特別展は終了しています
特別展の見どころをご紹介してきた当シリーズ、最終回となる第5回は、デスモスチルスをご紹介したいと思います。
デスモスチルスの全身の骨の化石は、これまでに2体分しか見つかっていません。そのうちのひとつが、北海道歌登町(現・枝幸町)で発見された「歌登第1標本」です。こちらの全身組み立て骨格レプリカは、その歌登第1標本を元に作製されています。
デスモスチルスは、今からおよそ1500万年前に、太平洋を挟んで日本周辺と北アメリカ西海岸にのみ生息していた哺乳類です。しかし、その実態は今なお謎に包まれています。
一見すると、頑丈な手足があって、まるでゾウやサイのように、陸地を歩いていたように思えます。しかしその骨を詳しく調べると、手足は体から横向きに生えていて、しかも、自分の体重を支えることはほぼできなかったようです。
デスモスチルスとはギリシャ語で「束ねた柱」という意味で、その名前の通り、柱を何本も束ねたような形をした歯を持っています。でも、この歯で何を食べたかすら、わかっていません。
そしてもうひとつが、現在のサハリン・スミルヌイフ、発見当時は日本領の南樺太・気屯(けとん)で発見された、「気屯標本」です。歌登第1標本が比較的若い個体であるのに対して、気屯標本は成熟した個体であると考えられていて、デスモスチルスの成長を知る上で、極めて重要な標本となっています。
気屯標本は、現在北海道大学総合研究博物館に保管されており、現在もなお、詳細な研究が行われていますが、今回、その気屯標本の下顎と上腕骨(二の腕)をお借りすることができました。
謎の絶滅動物に関する「世紀の発見」とも言われた気屯標本、その実物をぜひご堪能ください!
三笠市立博物館令和元年度特別展「マリタイム! 海の爬虫類と哺乳類たち」は、7月14日(日)~10月14日(月・祝)まで、三笠市立博物館多目的ホールにて開催中です。ぜひご覧ください。
紹介標本貸出:足寄動物化石博物館・北海道大学総合博物館
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