【終了】2022年特別展 見どころ紹介その1「テリズィノサウルス類」
本特別展は終了しています
そこでここでは、この特別展で展示されている標本の中でも、ちょっとマニアックだけど面白い標本をご紹介していきます。
今回は「テリズィノサウルス類」をご紹介します。
この記事が公開される7月29日、映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』も劇場公開となりました。この最新作も含めて、『ジュラシック・パーク』シリーズは全6作がつくられましたが、今回の『新たなる支配者』で初登場となる恐竜もたくさんいます。
そのなかのひとつが、「テリズィノサウルス」です。
テリズィノサウルスとそれに近い種類の恐竜は、二本足で歩き、小さな頭に長い首、胴体はでっぷりと太く、さらに長い腕の先に、大きく長いツメが3本生えている……という、とても奇妙な姿をしています。こんな見た目をしていますが、実は「獣脚類」、すなわち肉食恐竜のグループに含まれます。ところが、テリズィノサウルスとそれに近い種類は、植物を食べていたと考えられています。巨大なツメも、木の枝を引き寄せたり、肉食恐竜に襲われた時の武器として使っていたと思われます。
さて、このテリズィノサウルスですが、実は腕の骨しか見つかっていません。ここに書いた体の特徴は、テリズィノサウルスに近い種類の化石を参考にしています。
エルリコサウルスも、そんなテリズィノサウルスに近い種類の恐竜です。このエルリコサウルスは、テリズィノサウルスのなかまとしては唯一、ほぼ完全な状態で頭の骨が発見されています。2014年には、このエルリコサウルスの頭骨をCTスキャンにかけて、細かな特徴を調べる研究が行われました。
この時の研究では、化石になるまでに変形した部分を修復し、生きていた時のエルリコサウルスの頭骨が、3次元データで作られました。そこで今回の特別展では、そのデータを用いて3Dプリントを行い、エルリコサウルスの頭骨を再現しました。
肉食恐竜のグループに含まれるのに、植物を食べるのに適した、小さな歯がびっしりと並んでいるのがよくわかります。歯やアゴの形だけ比べると、テリズィノサウルス類は肉食恐竜よりも、ステゴサウルスや、竜脚類の祖先であるプラテオサウルスによく似ていることが知られています。
さて、このテリズィノサウルスのなかまについて、今年5月、北海道大学から大きな発表がありました。
実は、2000年に北海道からもテリズィノサウルスのなかまの化石が発見されていました。北海道大学総合博物館の小林快次教授たちの研究チームは、その化石を詳しく研究し、新種であるとして、学名を命名する論文を5月に発表したのです。その名前は「パラリテリズィノサウルス・ジャポニクス」。道北・中川町から、ツメを含む右手の骨と、首の骨1個が発見されています。
今回、北海道博物館が所蔵するパラリテリズィノサウルスのツメの化石(レプリカ)も、あわせて展示しています。テリズィノサウルス類の最大の特徴である大きなツメをぜひ間近でご覧ください。
これらテリズィノサウルス類は、実は鳥類の祖先に比較的近い種類の恐竜です。ほかの肉食恐竜に比べると、手首が動かしやすくなっているのが特徴で、テリズィノサウルス類はエサとなる植物をかき集めるのに使ったのに対して、鳥は翼をはばたくのに使ったのです。
北海道ともゆかりの深い、鳥の遠い親戚たちをぜひ特別展でご覧ください。
標本貸出協力
北海道博物館
中川町エコミュージアムセンター
3D model made by: ramon.gonzalez.cabrera (2017) CC BY 4.0 via sketchfab
市立博物館
電話:01267-6-7545
FAX:01267-6-8455
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