【終了】2022年特別展 見どころ紹介その3「絶滅した奇妙な鳥たち」
本特別展は終了しています
さて、そんな当館で開催中の特別展『翼 ~空を飛ぶ翼竜と鳥類の進化~』では、翼竜と鳥類という、ふたつのグループの動物を紹介しています。
地球の歴史上、空を飛んだ最大の動物は翼竜です。北アメリカで発見されたケツァルコアトルスや、ルーマニアで発見されたハツェゴプテリクスは、翼を広げた大きさは10m以上にもなり、これは現在のジェット戦闘機に匹敵する大きさです。
これに対して鳥類は、そこまでの大きさには至りませんでしたが、それでも、相当巨大に進化した種類がいました。それがペラゴルニスです。
翼竜や、鳥類以外の恐竜が絶滅したあと、新生代になってから出現したペラゴルニスは、最大の種類では、翼を広げた大きさが6.4mにもなったと考えられています。これは、有名な翼竜プテラノドンに匹敵する大きさです。片腕の骨だけで2.4mありますから、仮にペラゴルニスで手羽先を作ったら、床から天井まで届いてしまいます。
今回の特別展では、2種類のペラゴルニスの頭骨化石レプリカを展示しています。頭だけで長さが30cmもある、巨大なものです。
このペラゴルニスの頭骨には、さらに不思議な点があります。口を見てみると、まるで歯が生えているようですが、これは歯ではありません。これは、クチバシのふちがギザギザになっていて、歯の代わりになっているのです。このギザギザで、海の中を泳ぐ魚をつかまえていたと考えられます。この特徴から、ペラゴルニスの仲間のことを日本語では「偽歯鳥類(ぎしちょうるい)」あるいは「骨質歯鳥類(こっしつしちょうるい)」といいます。
ちなみに、鳥類の歴史のなかで最大のものはペラゴルニスですが、最小の鳥類は現在のキューバにすむマメハチドリです。全長は6cmほど、体重はわずか2gしかありません。このマメハチドリの模型が、ペラゴルニスの頭骨模型のとなりに展示されていますので、ぜひ最大の鳥と最小の鳥を比べてみてください。
さて、このペラゴルニスは、今からおよそ2500万年~250万前に生息していました。それと同じころに、日本に生息していた不思議な鳥について、今年5月に京都大学と群馬県立自然史博物館が発表がありました。「空を飛べない絶滅したハクチョウ」に、学名を命名されたというのです。
この化石は、群馬県の約1150万年前の地層から発見されました。しかも、翼が小さく退化していて、空を飛ぶことはできないことがわかりました。さらに、腰骨の背中側がくぼんでいたり、腕や尾羽を背中側に持ち上げやすくなったりしていました。このことから、この絶滅したハクチョウは、ヒナを「おんぶ」して育てていた可能性があります。
この絶滅したハクチョウの学名は「アンナカキグナ・ハジメイ」、和名は「アンナカコバネハクチョウ」と命名されました。
今回の特別展では、この、命名されたばかりのアンナカコバネハクチョウについても、化石が発見された当時のようすをかたどったレプリカを展示しています。レプリカといえども、世界に3点しかない大変貴重なものです。また、アンナカコバネハクチョウに関する資料の展示は、北海道内でははじめてのことです。
今は絶滅してしまった鳥たちにも、非常に不思議な姿をしたものがいたことを、ぜひ今回の特別展でお感じいただければ幸いです。
標本借用協力
群馬県立自然史博物館
松岡廣繁(京都大学)
3D model made by: The Charleston Museum (2017) / CC BY 4.0 via sketchfab
市立博物館
電話:01267-6-7545
FAX:01267-6-8455
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