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【終了】2022年特別展 見どころ紹介その4「”ラプトル“の一族」

本特別展は終了しています
 現在、当館で開催中の特別展『翼 ~空を飛ぶ翼竜と鳥類の進化~』(10月10日まで開催)の会場入り口では、恐竜の全身組み立て骨格が皆さんをお出迎えしています。
 この恐竜はドロマエオサウルス・アルバーテンシス。全長は1.8 mと、決して大きな恐竜ではありませんが、口には鋭い歯が、後ろ足には大きなツメが生えています。非常に獰猛なハンターであったことがわかります。



 今まさに最新作が公開されている映画『ジュラシック・パーク』シリーズには、“ラプトル”と呼ばれる恐竜が登場します。映画に登場する”ラプトル”は、名前は「ヴェロキラプトル」、体の大きさは「デイノニクス」という恐竜をモデルにしているのですが、そのどちらも、このドロマエオサウルスと非常に近い種類の恐竜です。そこで、これらの近縁な恐竜を、「ドロマエオサウルス科」と言うグループでまとめています。そう、このドロマエオサウルスこそ、いわば“ラプトル”の一族の“顔”ともいえる種類なのです。
 
 そしてこのドロマエオサウルス科に含まれる肉食恐竜は、今生きている鳥たちにもっとも近い恐竜です。特に、ここ10年ほどで、ドロマエオサウルス科の恐竜の多くは、体が羽毛で覆われていたことがわかってきました。映画の『ジュラシック・パーク』シリーズや、その原作となった小説が発表になったころは、それがまだ明らかではなかったので、映画の“ラプトル”は体がウロコで覆われていますが、実際のドロマエオサウルスたちが生きていた時の姿は、もっと現在の鳥によく似ていたと思われます。

 しかもドロマエオサウルス科の中でも、ミクロラプトルという恐竜の化石には、腕だけではなく、後ろ足にも翼がありました。つまりミクロラプトルは、4枚の翼を持っていたのです。おそらく、自力で飛び立てるほどの飛行能力はなく、高いところから飛び降りるときに翼を広げて、より遠くへ移動する「滑空」をしていたと考えられています。しかし、今の地球に、4枚の翼で空を飛ぶ脊椎動物はいないので、ミクロラプトルがどのようなポーズで滑空していたかは詳しくはわかっていません。
 コンピュータシミュレーションでは、腕を広げて、後ろ足を真後ろに伸ばした「大の字型」のほうがより飛行時間を延ばせることがわかりましたが、ほとんどの恐竜は後ろ足を真後ろに向けることができません。なので、後ろ足をやや折りたたんで、腕の翼と後ろ足の翼が上下に並ぶように飛んだ可能性も考えられています(ただし最近では、ミクロラプトルに近い種類の恐竜の化石の研究によって、後ろ足が真後ろに伸ばせる可能性も指摘されています)。
 現在、私たちが使っている飛行機の多くは、翼が左右に1枚ずつしかない「単葉機」がほとんどですが、発明されたばかりの頃の飛行機は、翼が何枚も縦に重なった「複葉機」がほとんどを占めていました。もしミクロラプトルが腕の翼と後ろ足の翼を「複葉機」スタイルにして飛んでいたとすれば、私たち人類の科学技術の発展と奇妙な一致があるといえます。



 いずれにしても、現在、私たちの身の回りにいる鳥たちはすべて、この「ドロマエオサウルス科」の恐竜たちに限りなく近い親戚たちなのです。
 ちなみに最新作『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』には、ピロラプトルとアトロキラプトルという、新登場のドロマエオサウルス科の恐竜がいるようです。ぜひ映画でご覧になった後は、当館でドロマエオサウルスもあわせてご覧ください。



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