実習生が制作した展示が公開されました
三笠市立博物館では、8月4日(木)から18日(木)まで、学芸員実習生が実習を行っていました。博物館に所属して資料保管・研究・展示作成などを行う専門職を「学芸員」といい、その資格を得るためには、博物館で実際に学芸員の業務を体験する「学芸員実習」を行わなければなりません。
今回、当館で実習を行った大学生・大学院生は、宮入悠太郎さん(東京農業大学)、東祐大さん(北海道大学大学院)、天野遼祐さん(筑波大学大学院)の3名。それぞれ、通う大学も、大学で取り組んでいる研究分野も異なりますが、学芸員実習では同じ業務に取り組んでいただきました。

左から、天野 遼祐さん、宮入 悠太郎さん、東 祐大さん
2週間の実習期間中には、化石の研究に必要な、写真撮影やレプリカ作成の技能を学んだり……


壊れやすい標本を保護する「綿まくら」という梱包材を作成したり……

お盆のイベント期間中には、イベントの運営業務にも携わっていただきました。


その実習の集大成として、3名にはオリジナルの展示を作成していただきました。展示テーマから考案してもらい、並べる標本の選定、解説文の執筆、パネルやラベルの制作まで、一通りの作業を行っていただきました。


そんな展示のテーマは「学名」。博物館には、聞きなれないカタカナの名前がついたアンモナイトの化石がたくさん展示されていますが、そんなアンモナイトの名前「学名」はどうやって命名されていて、どんな意味があるのか、詳しくご紹介しています。
本日より、その「卒業制作」とも言える展示が、博物館ロビーで公開されます。博物館にお越しの際は、ぜひそちらもご注目ください。
以下は、実習生の皆さんからのコメントです。

動物行動学研究室では、今生きている動物の行動にどのような意味があるのか、何を思って行動をしているのかについて研究をしています。そのため、古生物学についてほぼ何も知らない状態で実習に臨みました。そんな中で、私は出来るだけ来館者の目線に立った、より分かりやすく、より興味を持てるような展示にしようと取り組みました。
実際に展示制作に取り組んでみて、来館者へ何かを伝えられるようにストーリーを組み立ててゆくのがとても難しかったです。
来館者の皆さんには、私たちの展示から学名の面白さを知って欲しいです。学名は同じものが世界に2つとなく、使用されている単語には何かしら意味があったりします。特に形などの特徴にちなんで名付けられた学名を読んでいると、自己紹介カードを読んでいるかのように感じます。私たちの周りの、あらゆるものの学名を調べてみてください。もしかしたら、私たちが生きているこの世界と少しだけ仲良くなれるかもしれません。

私の研究対象とする自然は、未だ解明されていないことが多く、それはあたかも無数の糸が複雑に絡み合っているようなものです。理学は、そうして互いに絡まりあっている糸たちをより分けて行き、それぞれが別々のものとして認識できるようにしていく作業であると考えています。
今回の私たちが作成した展示のテーマである「学名」は、そうした理学の本質である、「何かと何かを区別すること」を体現するものであると思っています。またそれらを見てみると、私たちの名前にも意味があるように、一つ一つにそれを名付けた研究者たちの思いが込められています。是非ともこの機会に、そうした学名の興味深さを感じていただければ幸いです。
また展示制作にあたっては、同じく実習生である天野君、宮入君とともに展示で何を伝えたいのか、や、そのための改善策といったことをこの二週間で多くの議論を重ねてきました。そうした中で展示制作の大変さや面白さの一端を学ぶことが出来、とても意義深い時間であったと感じています。

マニアックな種類の素晴らしい標本でマニアックな展示を作りたい!というアンモナイト好きとしての個人的希望を、博物館実習というまたとない機会に実現することができました。
完成した展示では、様々な由来をもつ学名のアンモナイトと、北海道のアンモナイトを愛する者としていつかは揃えたい、属名に地名を冠したアンモナイト6点を筆頭とした北海道の地名を冠したアンモナイトを展示しています。そして、この計23点の標本をもとに個々に付けられた名前、学名について話題提供をしています。
完成した展示では、様々な由来をもつ学名のアンモナイトと、北海道のアンモナイトを愛する者としていつかは揃えたい、属名に地名を冠したアンモナイト6点を筆頭とした北海道の地名を冠したアンモナイトを展示しています。そして、この計23点の標本をもとに個々に付けられた名前、学名について話題提供をしています。
「学名」というと、いかにも学術的で堅苦しい印象をお持ちになる方が多いと思います。しかし、それぞれの学名にはしっかりとした理由や、また面白い由来があることも少なくありません。今回の展示では、人名や地名といったわかりやすく親しみやすい視点から多種多様なアンモナイトとそのユニークな名を知っていただけるのではないでしょうか。
そして、その形と名前を通して来館者一人一人がお気に入りのアンモナイトを見つけていただけたら幸いです。マニアの方も、初めて当館を訪れた方も楽しめることを目指した本展示を、ぜひご覧ください。
そして、その形と名前を通して来館者一人一人がお気に入りのアンモナイトを見つけていただけたら幸いです。マニアの方も、初めて当館を訪れた方も楽しめることを目指した本展示を、ぜひご覧ください。
この夏、学生たちが熱い思いをもって制作した展示を、ぜひご覧ください。
電話:01267-6-7545
FAX:01267-6-8455