
アンモナイト・イヤー企画 「今月のアンモナイト」2025年4月号
当館は2024年に、開館45周年を迎えました。そこで、46年目に当たるこの2025年を「アンモナイト・イヤー」と位置付け、アンモナイトいっぱいの年にしたいと考えています。その取り組みのひとつとして、毎月、収蔵庫からアンモナイトを選び出し、展示するロビー展示シリーズ「今月のアンモナイト」を開催しています。2025年4月、第4回目の「今月のアンモナイト」は、「ウソのアンモナイト」です。
4月1日はエイプリル・フール、「嘘をつく日」です。実は、アンモナイトにも「嘘」の種類がいるのです。
例えば、北海道からも化石が見つかる異常巻きアンモナイト「シュードオキシベロセラス」は、すでに知られていた「オキシベロセラス」に似ているけれども、別の種類であることから、「“偽りの”オキシベロセラス」という意味で、この名前がつきました。
また、北海道から化石が非常にたくさん見つかる異常巻きアンモナイト「ポリプチコセラス・シュードゴウルチナム」は、もともと命名された時は「プチコセラス・シュードゴウルチナム」という名前でした。これも、「プチコセラス・ゴウルチナム」という種類がすでに知られていて、それに似ているが違う種類ということで命名されたものです。しかし現在では、双方の名前が変わってしまっており、北海道から見つかる種類は「ポリプチコセラス・シュードゴウルチナム」、以前から知られていた種類は「ヘミプチコセラス・ゴウルチナム」とされています。
ちなみに、上に挙げたアンモナイトで言えば、シュードオキシベロセラスやポリプチコセラス・シュードゴウルチナムは、後期白亜紀サントニアン期〜カンパニアン期(約8300万年前)に生息していたアンモナイトです。これに対し、前者の学名の“元ネタ”であるオキシベロセラスは、それよりもやや新しい時代である後期白亜紀マーストリヒチアン期(約7800万年前)に生息していた種類です。後者の学名の“元ネタ”であるヘミプチコセラス・ゴウルチナムに至っては、もっと古い時代の前期白亜紀アルビアン期(約1億1300万年前)のアンモナイトです。
このように、「シュード(=偽り)」とついてはいても、“元ネタ”となった学名の種類と、同じ時代に生息していたり、進化の過程において何か特別な関係があったわけではありません。たいていの場合、学名に「シュード(=偽り)」とついていても、それは単に、人間から見たら、姿かたちがちょっと似ている、という程度の意味しかないのです。
ちなみに、学名に「シュード○○」とつけるのは、アンモナイトだけではなく、さまざまな生物でよく行われています。
例えば、この博物館の裏手にある「野外博物館エリア」には、日本語で「ニセアカシア」と呼ぶ木が生えています。これは「アカシア」という木に似ているため、この名前がついたのですが、そもそもこれは学名である「ロビニア・シュードアカシア」をそのまま訳したものです。

野外博物館エリア内で、ドローンを用いて調査を行っている様子。周囲に鬱蒼と茂る木がニセアカシア。
実は日本では、「アカシア」と「ニセアカシア」が混同されることがよくあり、札幌市北1条通りは「アカシア並木」として有名ですが、実はこの木は「ニセアカシア」なのです。
これら「偽り」の名前を持つアンモナイトたち(とその他の生物)は、4月いっぱい三笠市立博物館ロビーにて展示しています。期間限定の展示ですので、この機会をお見逃しなく!
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