
アンモナイト・イヤー企画 「今月のアンモナイト」2025年5月号
当館は2024年に、開館45周年を迎えました。そこで、46年目に当たるこの2025年を「アンモナイト・イヤー」と位置付け、アンモナイトいっぱいの年にしたいと考えています。その取り組みのひとつとして、毎月、収蔵庫からアンモナイトを選び出し、展示するロビー展示シリーズ「今月のアンモナイト」を開催しています。2025年5月、第5回目の「今月のアンモナイト」は、「アンモナイト万国博覧会」です。
現在、大阪では世界のいろいろな国々が集まった万博が開催されています。そこで当館では、「5月のアンモナイト」として、「アンパク」こと「アンモナイト博覧会」を開催し、世界各国の国名や地名が名前につけられたアンモナイトを紹介いたします。
そもそも、人間が発見した生物にはすべて学名がつけられています。学名は国際的なルールに基づいてつけられており、言葉としてはラテン語が用いられています。命名の仕方は、規則の範囲内であれば、自由につけることができますが、一般的にはその生物の形の特徴や、発見場所、関係した人物などにちなんだ名称につけた例が多くみられます。
そして、国や地域の名前に由来する名前のアンモナイトもたくさんいます。その中には、アンモナイトだけではなく、その国・地域の歴史にも関わるような意味が込められたものもあります。今回は、国や地域など、発見場所に由来する学名がついたアンモナイトを集めてみました。
例えば、北海道からも化石が見つかるアンモナイトの「キャナドセラス」は、1922年に命名されました。これは「カナダ」に由来する名前ですが、厳密にはこの時には、まだ「カナダ」という国は存在しませんでした。
現在のカナダとなる地域は、18世紀の半ば以来、イギリスの植民地でした。その約100年後の1867年に、その地域は「カナダ自治領(Dominion of Canada)」という名称になりましたが、まだ完全にイギリスから独立したわけではありませんでした。カナダが実質的な独立国家となるのは、ウエストミンスター憲章が制定された1931年、そして、法的に完全な独立国家になるのは、カナダ憲法が制定された1982年のことでした。
つまり「キャナドセラス」というアンモナイトは、「カナダ」という国ができるよりも一足先に“独立”した名前だったのです。
「ローマニセラス」というアンモナイトは、殻にたくさんの突起を持っているのが特徴です。
この学名は、イギリス人古生物学者のレオナルド・スパスによって命名されました。学名の綴りから推定して、おそらく地名の「ローマ」に関連する可能性が高いと考えられますが、残念ながらスパスは、名前の由来について、はっきりと書き残していません。ですので、「ローマ」と言っても、イタリアの首都である都市としての「ローマ」なのか、それとも「古代ローマ帝国」なのか、あるいは「神聖ローマ帝国」のことなのか、意味はいろいろ考えられます。もしかすると、地名などではなく、「ロマンティック」の語源となった「ロマン主義」のことかもしれません。
しかし、スパスが「ローマニセラス」と命名したアンモナイトは、フランス南東部、イタリアにも近いヴォクリューズ県から発見されています。このヴォクリューズ県は、14世紀にローマに代わって教皇庁が置かれた、「アヴィニョン捕囚」「教会大分裂」時代の舞台となった地域です。もしかするとスパスは、こうした歴史的な出来事にちなんで、「ローマに代わる場所」といった意味を含めて、「ローマニセラス」と名前をつけたのかもしれません。
奇しくも、このページが制作途中の4月22日、第266代ローマ教皇のフランシスコ教皇が逝去されました。この後、次代のローマ教皇が選出されることとなりますが、そんな歴代ローマ教皇とも浅からぬ縁のあるアンモナイトもいるのです。
奇しくも、このページが制作途中の4月22日、第266代ローマ教皇のフランシスコ教皇が逝去されました。この後、次代のローマ教皇が選出されることとなりますが、そんな歴代ローマ教皇とも浅からぬ縁のあるアンモナイトもいるのです。
このほかにも、国・地名に由来する名前を持つアンモナイトたち(とオウムガイ)は、5月いっぱい三笠市立博物館ロビーにて展示しています。期間限定の展示ですので、この機会をお見逃しなく!
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