芦別市(北海道)から、恐竜(獣脚類)化石が発見され、ティラノサウルス類の可能性が高いとの研究がなされました。
2016年、アマチュア化石コレクター・小川英敏 氏が芦別市で、骨の化石を発見しました。この化石は2017年に同氏より三笠市立博物館に寄贈され、北海道大学総合博物館の小林快次 博士および同大学修士課程の鈴木 花 さん、そして当館館長らによる研究を経て、今日の記者発表にいたりました。
左から、小林快次博士(北海道大学総合博物館・准教授)、研究の中心的役割を果たした鈴木花さん(北海道大学理学院・修士課程)、発見者の小川英敏氏、当館館長で共同研究者の加納学。
発見されたのは、長さ約8.9cm、高さ約5.6cmの、ほぼ円筒形をした骨の化石でした。その後、鈴木さんと小林准教授を中心とした研究チームによって、主に次のようなことが判明しました。
発見された骨の化石。
- この骨の化石が、獣脚類(肉食恐竜を含むグループ)の尾椎(しっぽの骨)であること
- 特に、ティラノサウルス類のものである可能性が高いこと
- 白亜紀の中でも、コニアシアン期(8980~8630 万年前)という、これまでティラノサウルス類の化石があまり発見されてこなかった時代のものであること
これまでティラノサウルス類のものと考えられる化石は、全国から7例、白亜紀後期に限れば4例発見されていますが、いずれも本州・九州のものです。今回の発見は、北海道では初のティラノサウルス類の化石です。
ティラノサウルス類がどのように分布していたか、また、ティラノサウルス類が白亜紀を通じてどのように大型化していったかを明らかにする上で、非常に重要な発見です。
また、この研究に関する詳細は、2018年 6月 23 日 に東北大学で行われる日本古生物学会2018年年会にて発表される予定です(※)。
そして、今回発見された化石は、6月23日(土)より、当館内に特設コーナーを設けて展示いたします。貴重な発見をぜひ間近でご覧ください!
発見の意義・詳細については、北海道大学プレスリリースをご覧ください。
多くのメディアの方に取材していただきました。今後の報道にもご注目ください。
※ 鈴木 花(北大・理)・小林 快次(北大・博)・加納 学(三笠市博)・唐沢 與希(三笠市博)・林 昭次(岡山理大)・太田 晶(北大・理)・宮地 鼓(国立アイヌ民博).2018.北海道芦別市の上部白亜系羽幌川層から産出した獣脚類化石.日本古生物学会2018年年会講演予稿集.p. 15.