三笠市立博物館

当館所蔵の異常巻アンモナイトが新種として発表されました

 長らくアニソセラス科に属する分類不明のアンモナイトとして、当館に収蔵・展示されていた大型異常巻アンモナイトが、この度、国立科学博物館の重田康成博士を中心とする研究グループによって新種であると発表されました。

そして、Mosirites serpentiformisモシリテス・サーペンティフォーミス)」命名されました。

  

 

図1:モシリテス・サーペンティフォーミスのホロタイプ標本

モシリテス・サーペンティフォーミスの特徴

今回の新種発表では、むかわ町穂別などで発見された別の1種(Mosirites mirabilis モシリテス・ミラビリス)と合わせて、「Mosiritesモシリテス)」という属が新設されました。

新属のモシリテスは、大型で緩く巻いた立体螺旋に続き、緩く巻いた平面螺旋状の殻をもつことが特徴です。 また、殻表面には細かい肋(殻の成長方向にほぼ直行する線状の凹凸)と4列のトゲ状のイボが発達します。 

このモシリテスの中の1種であるMosirites serpentiformis(モシリテス・サーペンティフォーミス)は、成長初期の立体螺旋巻きの部分と、成長後期の平面螺旋の巻き軸が同一であることが特徴です。 

また、同時に新種として発表されたモシリテス・ミラビリスよりも肋が細かいことも特徴的です。

発見された化石の年代から、モシリテス・サーペンティフォーミスはモシリテス・ミラビリスよりも古い時代のもので、モシリテス・ミラビリスの祖先であると推定されています。
 

※モシリテス・ミラビリスの画像はむかわ町立穂別博物館より提供

 

図2:モシリテスの産出年代

発見と収蔵経緯

モシリテス・サーペンティフォーミスは、白亜紀のアルビアン期後期の大夕張から産出しました。
また、先行研究で知られていたサハリン産標本も鑑定の結果この種であるとわかりました。

種の基準となるホロタイプ標本は大夕張産で、1996年に松田昇市氏が発見し、三笠市立博物館へ寄贈されました。以降この標本は、化石の展示室で常設展示されています。(現在はスポット展示中)

名前の由来

モシリテス(Mosirites)という名称は、アイヌ語で(静かな)大地の、もしくは北海道を意味するモシリ(mosir)と、ギリシャ語で石を意味するイテス(-ites)に由来しています。

また、サーペンティフォーミス(serpentiformis)は、ラテン語でヘビを意味するサーペンス(serpens)と、ラテン語で形を意味するフォルマ(forma)に由来しています。

 

論文の情報

新種発表が掲載された論文の詳細情報は以下の通りです。

著者:重田康成・西村智弘・伊豆倉正隆

論文タイトル:Mosirites, a new Cretaceous heteromorph ammonoid genus from Hokkaido, Japan.

出版論文:Paleontological Research(日本古生物学会欧文誌), doi:10.2517/PR220032

オンライン出版日:2023623日 
 

展示情報

現在、三笠市立博物館では、新種としての発表を記念してスポット展示を行っています。

ヘビのような特徴的なフォルムをぜひ間近でご覧ください。
 



図3:モシリテス・サーペンティフォーミスのスポット展示

お問い合わせ先

市立博物館
電話:01267-6-7545
FAX:01267-6-8455